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【小林耳鼻咽喉科医院】 世田谷の耳鼻咽喉科 めまい 耳鳴り アレルギー性鼻炎 耳鼻科

勉強会に参加しました

今日は晴れてスッキリした1日になりましたね。

 

 

26日日曜日は

関東耳鼻咽喉科アレルギー懇話会に参加しました。

場所は日本教育会館です。

 

 

「2020年のスギ花粉予想」

NPO花粉情報協会 佐橋 紀男先生

 

今年の花粉飛散は

日本気象協会の予想によると、

関東では去年よりやや少なめの飛散となるようです。

 

 

「鼻アレルギー・過敏症に対する手術療法」

広島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科

教授 竹野 幸夫先生

 

 

アレルギー性鼻炎では

神経原性反射の閾値低下が

くしゃみやむずむず感の原因となっています。

 

同時に遠心性副交感神経の興奮で

鼻汁過分泌が起こります。

 

 

 

後鼻神経切断術 (経鼻腔翼突神経切断術) は,

これらの症状を制御する手術です。

 

 

鼻腔後部の

蝶口蓋孔 (sphenopalatine foramen) を確認し、

蝶口蓋動脈 (sphenopalatine artery) に伴走している

求心・遠心両神経線維束

(知覚神経である三叉神経第Ⅱ枝の枝

翼口蓋神経節由来の遠心性副交感神経の枝)

を切断する手法です。

 

 

動画による実際の手術の手技と

鼻腔側壁粘膜フラップの温存方法

鼻腔形態整復術と組み合わせた

後鼻神経切断術の相乗効果について

解説がありました。

 

 

 

 

「口腔アレルギー症候群up-to-date」

藤田医科大学 総合アレルギー科

教授 矢上 晶子先生

 

 

口腔アレルギー症候群

(oral allergy syndrome :OAS)とは

ある果物や野菜を食べた時に

口の中がかゆくなったり刺激を感じたり

喉の奥が狭くなる症候群です。

 

 

果物や野菜に含まれる

アレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)

が口腔粘膜に触れて起こります。

 

これらのアレルゲンは、花粉のアレルゲンと

構造が似ているために、

花粉症の方は口腔アレルギーを

発症することがあります。

 

 

食物中で特異的IgE抗体が結合する

それぞれのタンパク質を

アレルゲンコンポーネント、

その結合部位をエピトープ(抗原決定基)といいます。

 

 

一連のアミノ酸配列で構成されるものを

連続性エピトープ、立体構造によって形成された

不連続なアミノ酸配列で構成されるものを

構造的エピトープといいます。

 

構造的エピトープは連続性エピトープに比べ

熱変性、消化酵素の影響を受けやすくなっています。

 

そのため加熱などの加工処理によって

食物摂取が可能となることがあります。

 

 

食物依存性運動誘発アナフィラキシー

(food-dependent exercise-induced anaphylaxis, FDEIA)

は特定の食物摂取後の運動負荷によって

アナフィラキシーが誘発される疾患です。

 

 

原因食物としては小麦と甲殻類が多く

初回発症年齢のピークは10~20歳代です。

 

また運動に誘発されない

食物によるアナフィラキシーショックの例は

欧米ではピーナッツ、ナッツ類が多く、

日本では鶏卵、乳製品、小麦、ソバ、

ピーナッツが多くなっています。

 

感冒や疲労、入浴に伴って誘発される場合があります。

 

 

小麦加水分解物を含む石鹸(茶のしずく

を使用したことにより発症する小麦アレルギー

の健康被害が多く報告されています。

 

保湿性やツヤ出し、感触改良といった目的で

「グルパール19S」という

加水分解小麦が使用されていました。

 

「グルパール19S」は、加水分解小麦の中でも

分子量が大きく、5万以上あります。

 

界面活性化作用があり

肌から入った場合にアレルギー物質と認識されやすく

洗顔石鹸のため、

目や鼻などの粘膜部に触れることで

アレルギー症状を発症したと考えられています。

 

 

最近の研究では

経皮感作小麦アレルギーと関連する遺伝子について

明らかになっています。

 

 

 

またイギリスでは「ピーナッツアレルギー」

が児童の70人に1人が発症し、

深刻な社会問題になっています。

 

保育園や小学校では

ピーナッツの持ち込みが禁止になりました。

 

原因はピーナッツオイル入りの

オムツかぶれ防止クリームで、

15.000人を対象とした5年間の調査では

84%の新生児がこのクリームを使用していました。

 

このオムツかぶれ防止クリームを使用した子供たちは、

使用していない子供たちに比べて、7倍もの割合で

ピーナッツアレルギーを持っていることが分かりました。

 

 

食物アレルギーに対する

経口免疫療法もありますが、

アナフィラキシーショックを起こす可能性も高く

治療効果と危険性を勘案すると

問題があるように感じました。

 

 

多くの知識を習得して有意義な時間でした。

これからも積極的に勉強会に参加したいと思います。