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【小林耳鼻咽喉科医院】 世田谷の耳鼻咽喉科 めまい 耳鳴り アレルギー性鼻炎 耳鼻科

地域連携会に参加しました

今日は雨になってかなり気温が下がり

また真冬が戻ってきたような1日でしたね。

 

 

昨日の夜は日赤医療センターの病診連携会に参加しました。

 

 

場所は渋谷のセルリアンタワー東急ホテルです。

 

 

はじめに

日赤医療センター耳鼻咽喉科 中西 わかこ先生の

「喘息合併慢性副鼻腔炎

好酸球性中耳炎に対する抗IL-5抗体の治療効果」

 

 

気管支喘息と副鼻腔炎は合併することが多く

好酸球性副鼻腔炎と呼ばれる

難治性の病気となる場合もあります。

 

副鼻腔炎が長引くと鼻茸を合併し

血液検査で好酸球の異常高値が見られます。

 

 

こちらは副鼻腔手術で改善した例ですが

CTで目の周りの灰色の部位、

鼻茸による陰影が消えて

空気が入って黒い正常状態に回復しています。

 

 

CT画像で左が術前、右が術後です。

 

この病気は手術でポリープを切除しても

高い確率で再発しやすいため

治療が長期化する傾向があります。

 

 

手術治療に対して不変例でのCT画像では

目と目の間にある灰色部分

鼻茸の範囲に変化が見られません。

 

 

また好酸球性中耳炎も耳漏をくり返し

外用薬や内服薬での治療は難しいのですが

これらの病気は

免疫反応に関与している

T細胞が産生する化学物質の一つ

インターロイキン5が好酸球の増多を引き起こして

重症化していることが考えられます。

 

 

このインターロイキン5を抑える治療についての発表です。

 

 

9例の重度の喘息に合併した

好酸球性副鼻腔炎、中耳炎患者さんに薬剤を投与し、

効果としてはまずまずの成績でした。

 

 

発表後、質疑応答の時間に中西先生に質問をしました。

 

9例の検討の中で

血液中の好酸球増加がかなり多いにもかかわらず

治療効果があった1例の

臨床的な特徴を伺うと

鼻茸の程度が軽く、予後のいい例だったとのことでした。

 

血液検査での好酸球異常の程度と

病状との関連についてはわからないことが多く

今後さらに詳しい検討が必要と思いました。

 

 

二題目の講演は

帝京大学 ちば総合医療センター 耳鼻咽喉科

鈴木 雅明先生の

「アレルギー性鼻炎と睡眠障害 睡眠呼吸障害」

 

 

睡眠時のいびきや無呼吸を調べるため

入院の上夜に睡眠ポリグラフ検査を行います。

 

 

かなりの重装備で、見た目は物々しくて大変です。

 

 

この検査で寝ている間に起こる無呼吸の回数や、

体内に酸素がどれくらい取り込まれているか

の指標である酸素飽和度、

呼吸に関連する口や咽頭の圧力の変化など

いろいろなデータがわかります。

 

 

小児で口呼吸をする代表的な病気は

鼻の突き当たりにあるリンパ組織が大きくなる

アデノイド肥大があります。

 

 

睡眠時無呼吸スコアが高い例では

アデノイド切除が行われますが

時間が経つと再度肥大が起こることがあります。

 

 

再発後の手術以外の無呼吸の対応として

口蓋の形を広げる口腔外科的な装具の使用や

舌を積極的に出し入れしたり

上下に動かす運動を続けることで

口腔内の構造が変わって症状が改善するなど

貴重なお話を伺えて、とても興味深い講演でした。

 

 

最後の質疑応答の時に鈴木先生に質問してみました。

 

口腔外科での装具を使って

保存的治療期間はどれくらいかかるでしょうかとの問いに

二〜三ヶ月から半年、肥満で気道閉塞のある人は

長引くことが多いとのことでした。

 

また成人の無呼吸の患者さんに

口蓋垂を局所麻酔で切除している開業医の先生がいて

術後に症状が全く変わらないで

お困りの方が増えています。

 

当院にもそういった方がいらしたので

この点に関して鈴木先生のご意見を伺うと

学会でも非常に問題になっていて

今後はしっかり対応していく必要があるとのお考えでした。

 

 

質問にも丁寧にお答えいだだきとても嬉しかったです。

 

 

これからも引き続き積極的に

地域医療連携会に参加したいと思います。