【小林耳鼻咽喉科医院】 世田谷の耳鼻咽喉科 めまい 耳鳴り アレルギー性鼻炎 耳鼻科

耳鼻咽喉科の勉強会に参加しました

今日午前中は晴れて気持ちの良い日でしたが

午後には曇りから雨になりました。

 

 

 

日曜日は関東耳鼻咽喉科

アレルギー懇話会に参加しました。

 

 

場所は千代田区の日本教育会館です。

 

 

最初の講演は、

「耳鼻咽喉科免疫関連疾患とベリオスチン

副鼻腔炎を中心に」

講師は東北医科薬科大学 耳鼻咽喉科教授

太田 伸男 先生です。

 

 

ベリオスチンとは、

生体の上皮細胞の接着、遊走

に関与するタンパク質です。

インターロイキン5(IL-5)よりも

強力に好酸球を活性化し、

胎生期における細胞合成、

創傷治癒、癌細胞の浸潤や転移に

おいても重要な物質であることが

知られています。

 

 

鼻副鼻腔や中耳の粘膜が

外的因子により刺激され、

IL-5などに代表される

TH2サイトカインが誘導された結果、

好酸球が増殖し、

エオタキシンの作用により

炎症局所に集積します。

 

 

粘膜下ではIL-4、IL-13などにより

線維芽細胞から

ペリオスチンが産生されて

副鼻腔炎の鼻茸や好酸球性中耳炎での

粘膜肥厚や肉芽形成などを引き起こします。

 

正常人の鼻内所見

 

 

好酸球性副鼻腔炎

白い鼻茸が充満しています。

 

 

 

好酸球性副鼻腔炎は

手術をしても再発率が高く、

完治するのが難しい病気ですが

ペリオスチンに注目して

研究をされている先生の

データは非常に興味深く、

今後の好酸球性副鼻腔炎の

治療に期待が持てました。

 

 

次の講演は

「好酸球性副鼻腔炎の病態

局所IgE産生を中心に」

講師は日本医科大学武蔵小杉病院

耳鼻咽喉科 若山 望 先生

 

 

好酸球性副鼻腔炎での

篩骨洞粘膜中にIgEが

増多していることがわかっています。

 

血液中のIgEの値と、

篩骨洞粘膜内のIgE値とは相関がありません。

 

血液中のIgE値が高い場合に

抗IgE抗体(オマリズマブ)による治療が

効果的である可能性があり

今後の好酸球性副鼻腔炎の

治療展望について解説がありました。

 

 

 

 

「好酸球性副鼻腔炎の臨床」

日本医科大学武蔵小杉病院

耳鼻咽喉科 松根 彰志先生

 

 

好酸球性副鼻腔炎と

気管支喘息の合併例は多く

好酸球性中耳炎も約20%に併発します。

 

 

 

好酸球性副鼻腔炎の手術治療で

喘息が改善する場合もあり

新しい抗サイトカイン療法の

展望についてのお話も

大変興味深かったです。

 

 

続いて「鼻粘膜バリア障害」

日本医科大学付属病院

耳鼻咽喉科 三輪 正人先生

 

 

 

糖尿病、高血圧など生活習慣病は

ストレス、肥満、睡眠不足などの因子が

上流から下流にかけて

川の流れのように影響しています。

 

 

 

病気の上流から根本的な解決策を

対策することで

発症を未然に防ぐことができます。

 

 

 

糖尿病では腸内細菌叢のバランスの乱れが

血液中に影響することが知られています。

 

腸の粘膜と同じような観点から

鼻粘膜上皮のバリア機能の面を考慮して

病態を理解しながら治療を考えるという

スタンスが非常に重要である

とのお話でした。

 

 

 

好酸球性副鼻腔炎の手術後には

鼻茸が再発する場合が多く、

追加治療として上顎洞内に

カテーテルを入れ、

そこからステロイド剤を注入する

新しい治療法についても解説がありました。

 

 

 

最後は「鼻アレルギーと睡眠障害」

太田総合病院 耳鼻咽喉科

千葉 伸太郎先生

 

 

 

アレルギー性鼻炎の患者さんでは

睡眠障害が高率に発生していて

日中の眠気の原因になっていることが

知られています。

 

 

小児と成人での睡眠時無呼吸症候群の病態です。

 

 

 

成人では舌根部位の沈下による

気道狭窄が影響し

小児ではアデノイド肥大などの

鼻腔通気障害が

主な要因となっています。

 

 

高度のアデノイド肥大に対して、

通常は手術治療となりますが、

アデノイド肥大の小児に対して

ステロイド点鼻薬を一ヶ月程度使用し

アデノイド肥大の縮小効果があった

という発表はかなりの

インパクトがありました。

 

 

アレルギー性鼻炎に対する

不眠の治療に際しての注意点として

抗ヒスタミン薬の副作用で

起きている眠気なのか

判断が難しい場合があること、

不眠に対して睡眠導入剤を使用しないこと

があげられます。

 

 

1日がかりの勉強会でしたが、

今後の外来診療に役立つ

新たな知識が増えて

大変充実した時間でした。

 

 

これからも積極的に

勉強会に参加したいと思います。