今日は晴れて気持ちのいい一日になりましたね。
25日水曜日から横浜で開催された
めまい平衡医学会に参加して来ました。
会場は新横浜プリンスホテルです。
新潟大学大学院医歯総合研究所
堀井 新先生の講演
「浮動性めまいをどうみるか」
では、持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)
についても詳しく解説がありました。
他のめまい疾患との違いや鑑別法など
大変参考になりました。
横浜市脳卒中・神経脊髄センター神経内科
城倉 健先生の
「めまいの救急
Dizziness and vertigo in the emergency room」
急性期めまいの診療フローチャート
についての解説がありました。
発症様式
誘因 合併症
蝸牛症状(難聴 耳鳴 耳閉感)
をもとに念頭に置くべき疾患を考えます。
非常に実戦的な講演でした。
ランチョンセミナーは
みなと赤十字病院の新井基洋先生の講演で
「高齢めまい患者の平衡機能の特徴
ーめまいリハと漢方治療選択のコツー」
毎回エネルギッシュな講演で聴衆を魅了する
新井先生のセミナーです。
日本の人口は高齢化が進んでいます。
65歳以上の高齢者は3558万に及び、
全人口の28.1%を占めています。(平成30年)
高齢者に多く見られるフレイルとは
健常と要介護の中間に位置する状態です。
高齢化のため筋肉量が減少し
中枢の小脳や、前庭器官
の加齢による変化により
ふらつきやめまいを訴える方が増えています。
身体のバランスを調整している
三半規管には膨大部という場所があります。
70歳以上では加齢により
外側半規管部膨大部稜の有毛細胞が40%減少
また平衡斑の感覚有毛細胞が25%減少します。
新井先生は高齢者のめまい患者さんに
リハビリテーション実施の際
人参養栄湯を投与して
治療効果を上げています。
人参(にんじん)当帰(とうき)
芍薬(しゃくやく)地黄(じおう)
白朮(びゃくじゅつ)茯苓(ぶくりょう)
甘草(かんぞう)桂皮(けいひ)
黄耆(おうぎ)遠志(おんじ)
陳皮(ちんぴ)五味子(ごみし)
が配合されていて、
生命活動の根源的なエネルギーである「気」
を補う作用があり、
滋養強壮や血行改善に効果があります。
めまい患者さんに対してリハビリテーションを行い
フレイルの有無で効果を判定した結果です。
フレイルのない群では
6ヶ月での治療効果が確認でき
フレイルのある群では
半年で改善は見られるものの
さらに長期間(12ヶ月)の治療期間で
治療成績が上がるということでした。
新井先生のリハビリテーション
を取り入れている岡山県の病院があり、
外来では医師と理学療法士が協力して
治療に当たっています。
一般の方は自宅で行うリハビリを
外来で理学療法士が一人につき
40分かかりきりで指導する方法で
自宅で一人でリハビリを行うより
短期間で症状が改善するという報告でした。
理学療法士が治療の指標としている
歩行機能の評価法である
DGI (Dynamic Gait Index )
FRT (Functional Reserch Test )
転倒リスク評価に用いる
TUG (Timetd Up & Go Test )
についてもわかりやすい説明がありました。
横浜めまいメニエール病センター
「めまい専門施設から見た耳症状誤診の背景」
これまでは良性発作性頭位めまい症に
耳症状は伴わないとされてきましたが
実際には耳閉感や耳鳴を訴える方もいます。
耳症状が浮遊耳石由来という解説でしたが
理論的に納得できる説明でした。
現在この知見は
一般にはあまり知られていませんが
将来はその認知度が変わる可能性があります。
その他の演題も興味深い物が多く、
めまいの漢方治療では
加味帰脾湯(かみきひとう)や
真武湯(しんぶとう)
に関する検討も大変参考になりました。
医学書籍販売コーナーでは
興味深い本を購入しました。
これからさっそく読み進めていこうと思います。
いろいろな知識を吸収できて、
大変有意義な学会でした。
今回勉強して得た新しい知識を、
これからの外来に生かしていきたいと思います。