今日は晴れて
気持ちのいい一日になりましたね。
正露丸は主成分の日局木(もく)クレオソート
アセンヤク末、オウバク末、カンゾウ末、
陳皮(ちんぴ)末などの生薬を配合した
独特の臭いを持つ胃腸薬です。
ひどい腹痛や下痢などを
短時間に治す大変いい薬ですが、
高知大学理工学部の研究グループは、
正露丸がアニサキスに対する
殺虫効果を持つことを実験で証明しました。
アニサキスは鯖やカツオなどに寄生し
人の胃壁に取り付き強い腹痛を引き起こします。
内服薬での殺虫方法がなく、
直接内視鏡で摘出する以外、
治療できないとされていました。
今回の研究では
アニサキス食中毒に対する
正露丸の効果を調査しました。
研究グループは、細胞の生死判定を行う
トリパンブルー染色液を使って
実験を行いました。
この染色液が青く染まると
細胞が死滅していることを示します。
通常服用量の正露丸を溶かした液に
アニサキスを30分浸し、
活動の停止を確認してから
トリパンブルー染色を行いました。
するとアニサキスは
濃い青色に染まりました。
図のBでは
アニサキスの細胞が死滅しているため
紫色に染まっています。
アニサキスは胃液の消化酵素に
分解されることがないため、
体に入ると1週間近く生存し続けます。
正露丸で30分処理されたアニサキスは
胃液と同じpHでも24時間以内に
分解できる状態になっていることがわかりました。
正露丸の主成分である木クレオソートが、
アニサキスのアセチルコリンエステラーゼ
という酵素を特異的に阻害するため
作用が発現しているものと考えられます。
まだ試験管内での実験結果ですが
アニサキスの治療に役立つ貴重なデータです。
今回アニサキスの特効薬が、
すでに市販されている薬であるという
とても興味深い意外な事実が判明しました。
今後も治療困難な病気に対して
新たな治療法が見つかるかもしれませんね。