昨日は東京でも初雪が降りました。
本格的な冬の気候となって来ましたね。
厚生労働省は一部の医師の労働時間について
年間2000時間を上限とする案を発表しました。
月平均で160時間となりますが、
これは過労死ラインと言われる80時間の2倍の時間です。
労働基準法では月に45時間、かつ年360時間以上の残業をしないよう
規制されています。
厚労省の資料によると勤務医の勤務時間は平均週70,6時間
時間外労働は100時間を超えています。
また年間1920時間を超える勤務時間の医師が1割、
2880時間を超える医師が2%ということです。
経済協力開発機構(OECD)によると
イギリス、フランス、ドイツの医師の平均労働時間は
週に40-50時間ほどでした。
人口1000人当たりの医師数もOECD平均数と比べて少なく、
過労死レベルの激務である外科系医師の健康状態が心配されます。
東京医科大学の不正入試問題も
こうした激務を敬遠する女性医師が多いため
出産などで途中退職する先生により医師数が少なくなると
現場が回らなくなることに起因しています。
診療科別の女性医師の割合ですが、
皮膚科、小児科や産婦人科では女性医師の割合が高く
外科や脳神経外科では低くなっています。
耳鼻咽喉科では女性医師は約20%となっていますが
手術や当直明けの外来など忙しい勤務が続く場合も多く
女性医師の子育て支援体制を確立したり、
勤務先での周りの医師の協力が必要となります。
アメリカでは長時間労働の若手医師による医療ミスから
医師の待遇を考えるきっかけとなったLibby Zion事件
があります。
亡くなった患者さんの父がジャーナリストで事故の背景を調べ
若い医師の激務の実態が判明しました。
この事件以降、アメリカでは医師の健康を守るために
勤務時間の制限が行われるようになりました。
日本でも過労による自殺やうつ病の発症
自ら麻酔薬を打って亡くなった麻酔科医など
貴重な命が失われる事件が多く起こっています。
これまでは医師の自己犠牲の精神に依存していた医療体制を
国の指針で変えることが出来るか疑問ですが
少しでも良い方向に向かうよう解決策が議論されています。
医師の数はすぐには増えず、大都市に集中することから
今後は医師の少ない地域では
軽症での時間外の不要な受診を控えたり
医師と患者さんが協力して地域医療を守る取り組みも必要となります。
自分も少しでも地域の方々の力になれるよう、努力したいと思います。