先週末は雨で寒い日が続きましたが
今日は晴れておだやかな日になりましたね。
21日木曜日は勉強会に参加して来ました。
会場は京王プラザホテルです。
一般演題最初の発表は
咽頭異物に関する治療についてです。
咽頭埋没異物の種類としては魚の骨が大半を占め、
刺入部位は口蓋扁桃が多く見られます。
高齢者では義歯やPTP包装シートの誤飲が問題となり、
時に全身麻酔下での摘出を要することがあります。
PTP包装シートのまま食道に刺入した状態です。
魚の骨などの異物が粘膜下に刺入埋没すると
視診での確認が非常に困難となり
CTなどの画像診断が必要となります。
時には縦隔炎など生命に危険が及ぶ場合もあり
慎重に検索を行う事が重要となります。
続いて下咽頭癌で放射線治療後に再発を認めた場合の
救済手術である内視鏡的咽喉頭手術(ELPS)
についての解説がありました。
ELPS(Endoscopic Laryngopharyngeal Surgery)は
咽喉頭領域における鏡視下手術です。
咽喉頭の表在癌に対する治療法で、
食道粘膜癌に対するEMR(Endoscopic Mucosal Resection)、
ESD(Endoscopic Submucosal Dissection)が応用され
機能温存を目的とした低侵襲治療が可能となりました。
経口的に内視鏡(佐藤式彎曲型喉頭鏡)を挿入し,
通常白色光観察とNBI(Narrow Band Imaging)
観察にて病変の全体像を観察します。
佐藤式弯曲型喉頭鏡
咽頭全域にヨード染色を施行した後
病変の範囲と副病変の有無を精査します。
電気メスで病変境界の1~2mm外に
凝固モードにて全周マーキングを施行します。
マーキングの外側1~2mmを電気メスで全周切開を行います。
経口的に挿入した鉗子で病変を把持し
電気メスで上皮化層を剥離して
病変を一括切除します。
一般に救済手術の予後は不良とされますが、
比較的切除安全域を取りやすい下咽頭癌での救済手術は
生命予後の改善に意義があるという発表内容でした。
遺伝性難聴症例への人工内耳手術について
小児睡眠時無呼吸症候群に対する治療戦略
の発表があり、大変勉強になりました。
特別講演は
「副鼻腔と中耳の真菌感染症」
東京女子医科大学 耳鼻咽喉科
野中 学先生
耳や鼻の真菌症(カビの一種)
による感染症は長期化することが多く、
治療が難しい疾患です。
鼻腔真菌症は侵襲性、非侵襲性に分類されます。
アスペルギルスによる慢性非浸潤性真菌症が最も多く、
最近はアレルギー性真菌性副鼻腔炎も増えています。
劇症型真菌症は真菌が血管内に入り
眼窩や頭蓋内など周辺臓器の壊死を来たし、
症状が急激に進行するため
死亡率も高く治療が困難な疾患ですが、
長期間の抗真菌剤の全身投与で
治療効果が出る例もあるという発表でした。
投与期間が一年以上となる場合が多く、
実際には患者さんの負担もかなりのもので
今後の治療法の改善が期待されます。
中耳の真菌症はカンジダやアスペルギルスが原因のことが多く
多剤薬剤耐性菌であるカンジダ・アウリス
(candida auris)による感染も報告されています。
この真菌は2009年に日本で最初に発見され
新興病原微生物として全世界で流行しています。
免疫力が低下した患者さんに
カンジダ・アウリスが感染すると
血液感染など重篤な状態を来たします。
真菌症の治療について最新の話題を聞くことが出来て
大変勉強になりました。
これからも積極的に勉強会に参加したいと思います。