【小林耳鼻咽喉科医院】 世田谷の耳鼻咽喉科 めまい 耳鳴り アレルギー性鼻炎 耳鼻科

低音障害型急性感音性難聴とは

今日は春らしい一日でしたね。

 

 

耳がつまったり、聞こえが悪くなる

低音障害型急性感音性難聴は

30歳代の働き盛りの人に多い疾患です。

 

長時間のパソコン業務や

ストレスや過労、睡眠不足、肩こりなどが誘因で

内リンパ水腫という状態となります。

 

 

蝸牛の頂上部分が低音部を聞き取る場所ですが

内リンパ水腫により音の信号が頂上部分に届かず

低音部が聞こえにくくなります。

 

 

治療は内耳の循環を改善する薬や

急性期で難聴が高度の場合には、

ステロイドホルモン剤を投与します。

 

漢方薬では、五苓散

柴苓湯などが使用されます。

 

コーヒーを多量に飲んでいる人に

この病気になる場合が多いので

コーヒーと内リンパ水腫の関連も考えられます。

 

 

 

肩こり関連めまいについて、

以前参加した

竹越哲男先生の講演会での発表です。

 

 

若い女性では低血圧の頻度が高く、

内耳の血流障害のため

低音部の音を聞き取る力が低下しやすい傾向があります。

 

 

 

低音障害型急性感音性難聴と異なり

両側の低音部の難聴が特徴です。

 

肩こりが高度でめまいが続く方は

自覚的には難聴を感じていない場合も

聴力検査で両側の低音部の難聴が

見られることがあります。

 

 

 

肩こり関連めまいの治療は

桂枝加苓朮附湯

(けいしかりょうじゅつぶとう)

が有効です。

 

 

また冬の寒さで手足が冷え

肩の血流が低下した

低音障害型難聴の患者さんに

当帰四逆加呉茱萸生姜湯

(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうがとう)

を処方したところ、

難聴が治ったばかりか

今までの肩こりや手足の冷えまでが

すっきりと改善しましたと、

大変感謝されました。

 

 

 

漢方薬は身体全体の不調を改善するため

難聴の治療目的に処方した薬が

もともとあった他の症状にも有効であることで

患者さんに喜ばれることもあります。

 

 

他にはのどのつまった感じでお困りの方に

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

を処方し、症状が改善しただけでなく

数年来困っていた不眠が治ったと

感激された方もいて、こちらまで嬉しくなりました。

 

 

これからも患者さんに喜ばれるよう

漢方の知識を増やしていきたいと思います。