今日はかなり寒い1日になりましたね。
22日水曜日は世田谷区医師会
内科医会総合診療研究会に参加しました。
順天堂大学漢方先端臨床医学・循環器内科
准教授 栗原 由美子先生
「日常診療で役立つ漢方薬」
始めに栗原先生ご自身が内服して
大変効果がありびっくりされたという
竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)
と治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)
のお話しがありました。
インフルエンザ感染後に咳が続く場合に
竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)
がかなり有効という
実体験を元にしたお話しでした。
漢方治療に際しては
気 血(けつ)水(すい)の概念が重要です。
「気」は目に見えない生命エネルギーです。
気虚 倦怠感・無気力・食欲不振など
気滞 頭重感・下腹部の張り・喉のつまる感じなど
気逆 のぼせ・動悸・発汗・不安感など
気虚には補中益気湯、
四君子湯(しくんしとう)
気滞には半夏厚朴湯、
香蘇散(こうそさん)などが使われます。
「血」は主に血液成分を指し、全身を巡って組織に栄養を与えます。
瘀血(おけつ) 月経異常・便秘・色素沈着など
血虚(けっきょ)貧血・皮膚の乾燥・脱毛など
瘀血には
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
などが有効です。
「水(すい)」は血液以外の体液全般に相当し
水分代謝や免疫システムなどに関係しています。
水毒 水滞 むくみ・めまい・頭痛・下痢など
水滞には麻黄や細辛などを含む漢方が有効で、
利水作用として五苓散、猪苓湯、
小青竜湯などの薬剤があります。
感冒の時には一般的には葛根湯が有効ですが
高齢者で虚弱の方には
麻黄附子細辛湯
(まおうぶしさいしんとう)
が効果的です。
また胃腸が弱い方の感冒には
香蘇散(こうそさん)が有効です。
は抑肝散
抑肝散加陳皮半夏
(よくかんさんかちんぴはんげ)
などがありますが
柴胡桂枝乾姜湯
(さいこけいしかんきょうとう)
は冷えのある方に処方されます。
東日本大震災後のPTSD患者に
柴胡桂枝乾姜湯を投与して
有効であったとの報告があります。
東北大学病院に受診したPTSD患者43名のうち
21人に柴胡桂枝乾姜湯を二週間投与しました。
その結果、柴胡桂枝乾姜湯を投与された群では
不安や不眠に対するアンケートのスコアが
対照群と比較して有意に低下していました。
またPTSDに四物湯と桂枝加芍薬湯の組み合わせが
有効という報告もあります。
うつ病に対しては半夏厚朴湯
加味帰脾湯(かみきひとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯
(さいこかりゅうこつぼれいとう)
桂枝加竜骨牡蛎湯
(けいしかりゅうこつぼれいとう)
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
などの効果が知られています。
めまいに対する漢方薬は
半夏白朮天麻湯
(はんげびゃくじゅつてんまとう)
黄連解毒湯などがあります。
講演の最後に漢方治療のメリットについて
患者さんとの関係が今まで以上に良くなるという
お話しがあり、なるほどと感心しました。
会場では内科の先生の質疑応答が続き
皆さん漢方に興味を持って
日々の診療していることがわかりました。
これからも漢方の知識を増やすため
積極的に勉強会に参加したいと思います。