今日は台風が近づいて雨が降り、不安定な天気ですね。
先週土曜日は漢方薬の勉強会に参加してきました。
場所は新宿の野村コンファレンスプラザです。
講師は大阪市のセンプククリニック
千福 貞博先生。
1983年に大阪医科大学を卒業されて外科医師となり
漢方治療のコツを関西弁でユーモアを交えて発信している
とてもエネルギッシュな先生です。
漢方薬のどの成分が症状改善に重要なのかを
わかりやすく講義して下さいました。
構成成分が少ない漢方薬ほど効果が現れるのが早く
構成成分が5種類の
五苓散や芍薬甘草湯は効き目が早く現れます。
花粉症には小青竜湯が多く使われますが
鼻閉が強い患者さんには麻黄附子細辛湯を使います。
附子は血圧上昇や発汗作用があるため
高血圧の方には避けるようにしています。
また小青竜湯には麻黄が含まれるため
副作用で胃腸障害がある方には麻黄が含まれない
苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)
を使用します。
ツムラ製剤で19番小青竜湯に100を足すと
119番の苓甘姜味辛夏仁湯となります。
先生が提唱するツムラプラス100の法則で
漢方が効かずに困った時には
100を足した製剤の処方を考えると伺い
なるほどと感心しました。
最近は長時間のパソコンやスマホの操作などで目が疲れ
深夜まで起きていて脳が休まらないため
ストレスによる身体の不調を訴える方が増えています。
不眠症やうつ病の際には
トリプトファンの代謝経路の障害が起こります。
トリプトファンから合成されるセロトニンは
心身安定作用があり、セロトニンの減少が
不安や抑うつ症状を引き起こします。
またトリプトファンからはキヌレニンも生成されます。
神経細胞の毒性効果、保護作用など多くの作用があり
トリプトファン代謝産物が少ないほど
うつ病が発症する可能性があります。
腸内細菌の変化で栄養素を吸収する能力が低下すると
トリプトファンの代謝低下が起きやすくなります。
先生は小児の診療で
膠飴(こうい)が含まれる小建中湯
を処方したお子さんが、本来の症状が軽快するとともに
不登校や倦怠感などが改善して
元気になる例を多く経験されています。
おそらく小建中湯に含まれる膠飴が腸内細菌を改善して
トリプトファンの代謝を促進することで
症状が改善したのではと推測されています。
耳鼻科疾患以外の処方例を勉強できて良かったです。
いろいろな漢方薬の効果を再認識できて
大変有意義な会でした。
今後は新しく勉強した知識を生かして
診療を充実させて行きたいと思います。