今日は残暑厳しい1日になりましたね。
水曜日は日赤医療センターの勉強会に参加して来ました。
場所はセルリアンタワー東急ホテルです。
「日常に起こり得るアナフィラキシーとその対応」
日赤医療センター 小児科 加藤 真理子先生
アナフィラキシーとは、アレルゲン等の侵入により
全身性にⅠ型アレルギー症状が起こり、
ふらつき、しびれ、息苦しさなどを生じ
生命に危機を与え得る過敏反応です。
皮膚症状(全身の発疹、掻痒感、紅斑)または
粘膜症状(口唇、舌、口蓋垂の腫脹など)が生じます。
アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合を
アナフィラキシーショックといいます。
食物、医薬品、ハチ刺傷が主な原因ですが、
食物によるものが圧倒的に多く、
小児では卵や牛乳、成人では小麦や甲殻類、果物があります。
食物アレルギーは乳幼児で発症することが多く
年齢と共に頻度が少なくなっていきます。
アレルゲンを調べる経口負荷検査でも発症することがあります。
虫刺されの原因はハチによることが多く
なかでもスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチが代表的です。
ハチ毒に対するアレルギー反応が無い場合には
刺された部位の発赤は数日で軽快します。
しかし一度ハチに刺された人は体内に抗体が産生され、
同じ種類のハチに刺された場合
5~10分以内にアナフィラキシーショックを起こすことがあります。
薬剤によるアナフィラキシーの多くは
ペニシリン系などの抗生物質、アスピリンなどの鎮痛解熱剤
造影剤などによるものです。
また卵アレルギーのある人が塩化リゾチームを含む
風邪薬を内服すると、アレルギー反応が出現することがあります。
これは交差反応と呼ばれ、
卵アレルギーのある人が塩化リゾチームに対して
アレルギー反応を起こしたり、
花粉症の人が果物摂取の際に口内がかゆくなったり
刺激を感じるという反応です。
口腔アレルギー症候群では
アレルゲンに対するIgE抗体が果物や野菜アレルゲンと反応しますが
アレルゲンが消化されると反応しなくなるため、
通常は口の中のかゆみなど軽度の症状です。
カバノキ科の花粉症の方は、
豆乳にもアレルギー反応が出ることがあり、注意が必要です。
またゴム製品でアナフィラキシーを起こすことがあり
手術用手袋にも用いられている
ラテックスという蛋白質が原因となります。
ラテックスアレルギーがあるとバナナ、アボカド、キウイなどを
食べた時にもアレルギー反応を起こす
ラテックス・フルーツ症候群が知られています。
アナフィラキシーショックによる死亡例は
2001年から2013年まで768人
原因として医薬品、ハチ刺傷が多くみられます。
治療は血圧などバイタルサインの確認後、
アドレナリン0.3mg(小児では体重kg当たり0.01mg)を
筋注するとともに、酸素吸入や点滴治療を行います。
アナフィラキシーショックの既往のある人は、
アドレナリン自己注射製剤であるエピペンの携帯が必要となり
当院も十分注意して対応したいと思います。