今日も晴れて気持ちの良い一日となり、
日中の気温もかなり上がりましたね。
スギ花粉症でお困りの方が
今日もたくさん来院されました。
スギの花粉はどのような形をしているのでしょうか。
スギ花粉を拡大すると、
このような形になっています。
花粉管が伸びる時に多く出現する
酵素ペクリン酸リアーゼという物質は
スギ、ヒノキ、ブタクサなどの植物に共通して
存在しています。
これは植物組織を柔らかくする働きがあり、
この物質がアレルギー反応に関係しています。
スギ花粉を吸入すると鼻腔表面にある
樹状細胞が反応してマクロファージを介して
ヘルパーT細胞に情報が伝わり
サイトカインという化学物質が遊離されます。
その後抗体を作る細胞であるB細胞に情報が伝わり
形質細胞に分化した結果、IgE抗体が産生されます。
肥満細胞表面でスギ花粉抗原とIgE抗体が反応する際に
肥満細胞の脱顆粒が起こり
内部にあるケミカルメディエーターが体内に回り
鼻汁 鼻閉 くしゃみを発症します。
花粉が鼻から出ていきやすいように鼻汁が多く分泌され
入った花粉をくしゃみで外に追い出し
これ以上の侵入を防ぐために鼻づまりが起こります。
人間の身体は本当に良く出来ていますね。
これまでは春には全くの無症状だった方で
血液中のIgEが高い方がいます。
これらの方の何割かは
数年後に花粉症を発症することがあり、
花粉症予備軍と考えられます。
大人になって初めて花粉症になる方も
以前からIgEが高く、
アレルギー反応を起こしやすい
体質だった可能性があります。
花粉症をはじめ、
アレルギー疾患は年々増加しています。
平成8年から26年にかけての
喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎
アレルギー性結膜炎の患者数の推移です。
このうち0~19歳の患者さんの数が
かなり増えています。
ところで花粉症の最も多い県はどこでしょうか?
アンケート調査で
花粉症があると答えた方の割合です。
有病率が高いのは、
群馬県、山梨県、滋賀県となっていて
低い県は沖縄県、北海道、宮崎県
となっています。
花粉症で本当にお困りの方は、
花粉の飛散期間
沖縄で療養するのもいいかもしれませんね。
東京都では10年ごとに
花粉症有病率を算出していますが
第一回調査では10%だった有病率は
平成28年は48.8%と、
半数近くの都民が花粉症になっている
という結果でした。
花粉の飛散するかなり前の期間に
患者さんが医療機関に受診しています。
公益財団法人日本アレルギー協会の
花粉情報標準化委員会の定義によると、
1月以降に、1平方センチメートルあたり1個以上の
スギ花粉を原則として
2日以上連続して観測した場合の
最初の日が、その観測地点の
飛散開始日となります。
そのため、スギ林の近くにお住いの方など
観測地点から離れた場所の人ほど
早く発症している可能性があります。
各年代で花粉の飛散時期を気にしているかの
アンケート結果です。
20代は男女ともにスマホ保有率が高く
50代女性は花粉症有病率が高いため
飛散時期を気にしているということですね。
こちらは予防のため試してみたい食品は?
というアンケート結果です。
この結果からは、
一般の方はマスコミやネットの情報に
かなり影響を受けているようです。
先日のブログでもお伝えしましたが
耳鼻科医が認めている
花粉症に確実に有効な食品はありませんので
情報に惑わされないよう十分注意して下さい。
スギ花粉症を予防する
ワクチンの研究についても
理化学研究所が貴重な実験を行っています。
スギ花粉の構造を変えたワクチンが
マウスでの実験で発症を予防する効果と
発症した後にも症状を
抑える効果が出たとのことです。
今後の研究の成果が待たれるところですね。