今日は晴れて寒い一日でしたね。
親戚の知人で
舞台でマクベスを演じている役者の方が
膝を痛めてしまい
ご相談にいらっしゃいました。
近くの病院で後十字靱帯損傷の診断で
保存的治療を続けていましたが、
今後の舞台活動に支障があり
手術治療目的で慶應義塾大学病院に
紹介することになりました。
シェークスピアの四大悲劇には
マクベス
ハムレット
リア王
オセロがあります。
この機会にマクベスの内容を
いろいろと調べてみました。
マクベスは、1040年から1057年まで
スコットランド王として君臨した
実在の人物です。
17年間の長期にわたって王位にあり、
平和な統治の実績もあり、
実際には戯曲に見るような暴君では
なかったようです。
マクベスはスコットランド王
ダンカンの臣下です。
反乱軍、ノルウェー軍との戦いに勝ち、
その帰途にマクベスと友人のバンクォーは
3人の魔女に出会います。
そこで3つの予言
「マクベスはコーダの領主となり、王となる」
「女から生まれた者にはマクベスを倒せない」
「バンクォーの息子は将来の王となる」
との言葉を聞きます。
すると直後に、スコットランドを裏切った
コーダの領主が捕まり、マクベスが新たに
その座に就くという知らせがもたらされました。
マクベスは魔女の予言が当たったことに驚き、
3つの予言を信じます。
その後マクベスは前王のダンカン一世を
殺して王になり、敵対勢力を次々に殺害、
後にダンカン一世の長男マルカムに
復讐されて死を遂げるという物語です。
マクベスは酒宴で酔いつぶれた
ダンカンを殺すのに逡巡し
血まみれの短剣が浮くのを幻視します。
何とか心を奮い立たせ殺害を実行した際
「マクベスは眠りを殺した。
もうマクベスに眠りはない」
と言う幻聴を聞き、取り乱してわめきながら
殺害に使った2本の短剣を室外に持ってきてしまい、
マクベス夫人が慌てて短剣を部屋に戻しに走り
その場で血糊を護衛たちに塗りつけ
証拠隠滅を図ります。
国王の座についたものの、
バンクォーの存在と、彼の子孫が王になる、
という予言を恐れたマクベスは、
バンクォーと息子フリーアンスに暗殺者を放ち
バンクォーは殺されますが、
フリーアンスは逃げ延びます。
貴族たちとの宴会の席で
暗殺者の報告をひそかに受けたマクベスは、
フリーアンス取り逃がしたことに不安を募らせ
バンクォーの亡霊がマクベスの座る椅子に
列席しているのを見て、さらに取り乱します。
マクベス夫人も、最初のうちは
気丈に振る舞いますが
次第に不安に蝕まれていきます。
恐怖に駆られたマクベスは
魔女たちのもとへ赴き、予言を乞うと
「女の股から生まれたものはマクベスを倒せない」
「バーナムの森がダンシネインの丘に
進撃して来ないかぎり安泰だ」
との予言を引き出します。
バンクォーの子孫が王になる
という予言について尋ねると、
魔女達はそれには答えず
8人の王とその後ろにバンクォーの
亡霊が笑っている幻影が現れ、
8人はバンクフォーにそっくりで、
マクベスはさらに不安になります。
マクベス夫人は夢遊病に冒されて
侍医と侍女が隠れて見守る中、
夜中に起き出して、手を洗う仕草を繰り返します。
「血が落ちない」「まだ血の臭いがする」
とつぶやき、ダンカン王殺害時の言葉を喋り、
バンクォーやマクダフ夫人殺害を悔い、
嘆き続けます。
マクベスの城へ
マクダフの率いるイングランド軍が攻めて来た際
味方の寝返りが続きますが、
「バーナムの森が動かない限り安泰だ」
「女が生んだものには自分を倒せない」
という予言により、自らの無敵を信じ
城にたてこもります。
そこへ「マクベス夫人が自殺して亡くなった」
との知らせが届きます。
マクベスは
「人の生涯は動き回る影にすぎぬ」
と言って夫人の死を受け入れようとします。
さらに使者からバーナムの森が向かってくる
という報告が入ります。
イングランド軍が兵力を隠すため
木の枝を隠れ蓑にして進軍し、
森が動いているように見えたのです。
マクベスは自暴自棄となり、
城が落とされる一方で、
次々と敵を倒して行きますが、
ついにマクダフと対峙します。
マクベスは
「女の股から生まれた者には殺されない」
と告げるとマクダフは
「私は母の腹を破って(帝王切開)出てきた」
と明かします。
最後の望みに見放されたマクベスは、
自分の運命は自分で切り開く、
とマクダフと戦い、奮闘の末に敗死します。
マクダフがマクベスの首級を
マルカム王子に献上して、
一同は勝利を祝福し
マルカム新王の誕生を讃えて
物語は終わります。
人の心の弱さと欲望や狂気
人は信じたい事だけを信じることなどが
克明に描写されていて興味深く
後世に伝わるだけの内容だと思いました。
福田恒存さん翻訳のマクベスは、
劇中の台詞や舞台の様子も描かれていて、
臨場感あふれる文章で、
大変面白く読めました。
あとがきには当時の時代背景や
実際に上演された時期
後世に追加された部分などについても
詳しく解説されています。
また日本シェイクスピア協会の
ホームページには
シェイクスピア学会など
貴重な情報がたくさんあります。
この機会にシェイクスピアの
他の作品も読んでみたいと思います。