今日は晴れて気持ちのいい一日になりましたね。
先週は富山県で開催された
めまい平衡医学会に参加して来ました。
会場は富山国際会議場です。
富山県は路面電車が多く走っていて
カラフルで種類も多くてびっくりしました。
昔ながらのデザインの電車です。
こちらは立山方面に出ている富山地方鉄道の立山線です。
めまいの最新の話題は、
持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)です。
診断基準の作製メンバーである
堀井 新先生の詳しい解説がありました。
PPPD患者さんの多くは
めまいの事が一日中頭から離れず
うつ病に近い精神状態のことがあり、
治療でSSRIが効果があります。
これはセロトニン再吸収阻害により
精神的ストレスを緩和する作用が考えられます。
しかし実際にうつ病でないPPPD患者さんに
抗うつ剤が効果がある理由については
薬剤の作用機序のみでは説明が困難で
今後の研究課題と思われます。
ランチョンセミナーは
みなと赤十字病院の
新井基洋先生の講演で
「最近のめまい治療の話題
ー前庭リハの限界と治らないめまいの影にフレイルありー」
昨年の発表同様にめまいのリハビリテーションと
漢方治療の説明がありました。
日本の人口は高齢化が進んでいます。
フレイルとは加齢に伴う生理的予備能力の低下から
ストレスに対する力が落ちて
生活機能が障害され、要介護状態や
生命維持が困難になりやすくなる病態のことです。
前庭リハビリテーションで効果がない患者さんは
フレイルである事が多く、
全身が衰える状態にならないためには
漢方薬が効果的です。
人参(にんじん)当帰(とうき)
芍薬(しゃくやく)地黄(じおう)
白朮(びゃくじゅつ)茯苓(ぶくりょう)
甘草(かんぞう)桂皮(けいひ)
黄耆(おうぎ)遠志(おんじ)
陳皮(ちんぴ)五味子(ごみし)
が配合されていて、
消化管の働きを高めて全身状態を改善します。
生命活動の根源的なエネルギーである「気」
を補う作用もあり、
滋養強壮や血行改善にも効果があります。
これからの高齢化社会では
病気になることをいかに防ぐかが重要になりますが、
漢方薬は病気を未然に防ぐ
未病に大変役立つと思われます。
その他の演題も興味深い物が多く、
横浜めまいメニエール病センター 高橋正紘先生の
「メニエール病の生物学的解釈」
慶應義塾大学耳鼻咽喉科学教室 神崎 晶先生の
「気象条件と耳鳴・めまいの変化に関する検討」
なども印象的でした。
いろいろな知識を吸収できて、大変有意義な学会でした。
今回勉強して得た新しい知識を、
これからの外来に生かしていきたいと思います。