スギ花粉症と舌下免疫療法
花粉症のメカニズムについて解説します。
① 花粉を鼻から吸入すると、マクロファージという貪食細胞がその情報をキャッチします。
② その情報が胸腺由来のヘルパーT細胞を介して、Bリンパ球というIgE抗体を産生する細胞に伝わります。
③ IgE抗体が産生されると、血液や粘膜中に存在する肥満細胞や好塩基球に到達し、スギ花粉抗原とIgE抗体が結合したことで肥満細胞が脱顆粒した結果、様々な化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が遊離します。
これらの物質が花粉症のさまざまな症状を引き起こすことになります。
花粉症の症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりです。
異物が入るとくしゃみで鼻から追い出そうとします。
鼻水で異物を洗い流し、さらにこれ以上鼻に異物が入らないように鼻を詰まらせることで、鼻からの花粉の進入をブロックします。
人の身体は本当に良く出来ているんですね。
さて、花粉症の治療には内服薬、点鼻薬の血管収縮薬やステロイド剤などの併用療法が最も多く行われています。
内服薬を毎年花粉症の時期に何年も服用するのは、医療にかかる費用や通院時間の面でもかなりの手間がかかりますね。
薬の副作用で眠気が出る方の場合には、車の運転の時にも薬が内服できないなど問題になります。
そのため当院では毎日簡便に自宅での治療が出来る
スギ花粉症に対する舌下免疫療法を導入しています。
この治療法は所定のプログラムによる研修を終了した
花粉症に対して豊富な知識を有する医師が在籍する
認可された専門施設でのみ受けられます。
具体的には花粉の飛散時期していない時期に、
舌の裏側の部位に薄めたスギのエキス製剤を
図のように毎日投与する方法です。
治療期間は2-3年間かかるので、
長期間毎日忘れずに投薬を頑張れる方、
スギ以外に原因となるアレルゲンがない方
その他抗がん剤による治療を受けていない方など、
治療を受けるにはいろいろな制限があります。
これまで当院でこの治療を受けた方の8割以上が
花粉の飛んでいる時期に前年に比べて
かなり症状が軽かったとおっしゃっています。
本年度の舌下免疫療法は今月より治療を受け付けています。
詳しい治療法などは直接ご説明させて頂きますので、
花粉症でお困りの方は、お気軽に外来でお尋ね下さい。