今日は晴れて
気持ちいい一日になりましたね。
厚生労働省は新生児の難聴対策として
出産後全員に聴覚検査を実施する
方針を明らかにしました。
先天性難聴児の約半数は、
難聴の家族歴、子宮内感染などにより
聴覚障害を合併する危険が高い児であり、
従来から聴性脳幹反応(ABR)などの
聴覚検査を行ってきました。
しかし残りの半数は危険因子がなく、
出生時に何ら異常を認めずに
検査を受ける機会がないため、
全新生児を対象のスクリーニングを実施しないと
難聴児を早期発見をすることが出来ません。
難聴の頻度は1,000人に1~2人と、
現在マススクリーニングが行われている、
他の先天性疾患より頻度が高いので、
全新生児を対象に
検査を行う意味があると考えられます。
ABRは音に対する聴神経から
脳幹の電気的反応をみる検査です.
防音室でクリック刺激による
脳幹の反応をとらえます。
この検査は児を眠らせて行う必要があり、
結果の判定は熟練したものが行う必要がありました。
自動ABRはベッドサイドで、
自然睡眠下で短時間に実施できます。
コンピュータに記憶させた
正常児の波形と比較することによって、
正常な反応が得られたかどうかを
判定する機能を持っています。
35dBというささやき声程度の
刺激音に対しての反応を見ているので、
軽度の難聴から発見することが可能です。
音が内耳の蝸牛に到達すると、
蝸牛の中の基底膜が振動し
高周波数の場合は蝸牛の入口
低周波数の場合は蝸牛の奥が振動します。
外有毛細胞は約12000個あり、
小さな音を大きく増幅し、
大きな音は抑制して内有毛細胞の
働きを助けています。
外有毛細胞が収縮、伸展し、
基底板の振動を増強します。
この振動が入力音と逆の経路を通って、
音として外耳道に放射されたものが
耳音響放射(OAE)です。
スクリーニング用OAEは、
刺激音を聞かせ、これに反応して返ってきた音が
認められるかどうかを自動的に判定します。
この反応が得られた場合には、
少なくとも40dB以上の聴力があるとされています。
最近は聴性定常反応
(ASSR; Auditory Steady-State Response) という
耳から入る音刺激に反応した
脳からの電位を特殊な方法で観察・記録し、
難聴の有無や程度を判定する検査があります。
ABRは主にクリック音を使用するため
高音域の聴力を反映しますが
低音域の聴力判定が困難です。
聴性定常反応では
話しことばの聞き取りに必要な周波数
( 250Hz,500Hz, 1000Hz, 2000Hz,4000Hz )
について他覚的聴力検査ができます。
小児の難聴の原因として
遺伝性のものが約50%を占め、
残りの50%がサイトメガロウイルスなどの
感染、外傷、薬物などによるものとなっています。
GJB2遺伝子変異による難聴や
CDH23遺伝変異によるアッシャー症候群
などが知られています。
今後は新生児スクリーング検査で
早期の診断が出来る事で
難聴の方の治療が有効に行われると思われます。