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【小林耳鼻咽喉科医院】 世田谷の耳鼻咽喉科 めまい 耳鳴り アレルギー性鼻炎 耳鼻科

7月の読書記録

最近はとても暑い日が続きます。

 

 

7月に読んだ本の紹介です。

 

全貌 ウィキリークス

 

 

ウィキリークスの創設者である

ジュリアン・アサンジに関する興味深い本です。

 

若い頃よりハッカーとして活動し、

親の方針で学校にはあまり通わず

過酷な幼少期を経てネットの世界にのめり込みます。

 

データの暗号化や検索エンジンの開発を通じて

2006年にウィキリークスを創設します。

 

告発者による内部情報を外に出すことを重視し、

2010年にはアメリカ軍の機密文書を大量に公開、

アフガニスタン紛争やイラク戦争の機密事項や、

市民に対する空爆による虐殺映像、

25万点を越えるアメリカ外交公電の公開で

各国首脳の赤裸々な姿を描き出します。

 

 

内部告発者の匿名性を守ることを徹底し、

マスメディアと連携して国家や企業の機密事項を

数多く暴いていくことで、

「報道の自由の戦士」として賞賛されます。

 

今までにはない新しい形のジャーナリズムで

次々と裏の情報が明らかとなり

アメリカの国家的な脅威にまでなっていきます。

 

 

2015年には米国家安全保障局(NSA)が

日本の財務省、大手企業などの電話を

盗聴していたと指摘し、

関連する米政府の機密資料を公表しました。

 

 

一時は時代の寵児となった

ジュリアン・アサンジでしたが

2010年にウィキリークスが

アフガニスタンやイラクにおける

米軍の軍事行動に関する

機密文書50万点を公開したことをめぐり、

米国で18の罪に問われています。

 

有罪となれば、

175年以下の禁錮刑が科される見込みです。

 

ワシントンポストの社説では、

アサンジが情報を非倫理的な方法で取得し

検証もせずに公開する方法が

本当のジャーナリズムではないと批判しています。

 

本人の性格的な問題や金銭問題から

周囲との軋轢を生じ孤立してしまい

創設者でありながら組織を統率できずに

ロンドンのエクアドル大使館に保護を求め

現在はイギリスに係留されています。

 

 

 

ウィキリークスの内幕

 

 

 

 

ウィキリークスの創設メンバーの一人

ダニエル・ドムシャイト・ベルクの手記です。

 

ジュリアン・アサンジとの

親愛を持って始まった関係が徐々に変化し

最終的に袂を分かつまでが書かれています。

 

ウィキリークスの協力者や

プログラマー、技術者が無償で協力を申し出ても

ジュリアン・アサンジの疑心暗鬼な性格と

独裁体制により、うまくいかずに

組織が内部崩壊する様子が描かれています。

 

 

アイスランドの情報公開が不十分であることから

現地で現状を訴え、ジャーナリズムヘイブンとして

タックスヘイブンに匹敵する理想郷を作ろうと

二人が協力しながら成長していく場面では

希望に燃えた若い力に感銘を受けました。

 

 

やがて寄付金が多大となり

その用途を巡る金銭的な問題が

内部崩壊の引き金となり

お互いの信頼関係が損なわれました。

 

多くの援助金が手に入ったことで

サーバーを増やしたり人件費をまかなったり

出来るようになりましたが

オフィスはない状態でした。

 

ダニエル・ドムシャイト・ベルクやスタッフは

正式なオフィスを作るよう提案しましたが

アサンジは

「反乱者の組織にオフィスは要らない」

「ウィキリークスは迫害されている。

だからウィキリークスを

アンタッチャブルな存在にしなければならない」

との考えで、オフィスを作らないままでした。

 

 

そうした混乱の中ウィキリークスのメンバーと

疎遠になったアサンジは、

その後アメリカより多くの訴状が出され

エクアドル大使館を経て

現在はイギリスの厳重な監視下に置かれています。

 

 

 

 

日本でも国家機密に関する情報公開は限定され

正式に情報を請求しても

報告書が黒塗りである場合がかなり多く存在します。

 

官僚の天下りを監視する目的でマスコミが入手した

文部科学省の天下りの実態に関する

調査報告書では、そのほとんどが黒塗りでした。

 

内部告白で情報を提供した

前文部科学事務次官

前川喜平さんに関するインタビュー記事

や、著書である

前川喜平「官」を語る

 

 

も大変参考になります。

 

 

2015年8月にうるま市沖の米海軍艦船に

米陸軍特殊作戦用MH60ヘリが墜落した

事故の米軍報告書

 

学校法人「森友学園」を巡る

決裁文書改ざん問題に関連して自殺した

赤木俊夫さんの遺族が請求した

財務省の報告書

 

 

都立小山台高校一年男子生徒の

自殺に関する報告書

など黒塗りの報告書は数多くあります。

 

 

このような黒塗りの報告書を出す

組織の考えとはどのようなものでしょうか。

 

指示を出す上司とそれを実行する部下とも

罪の意識は感じられません。

 

本来は国民のために働くはずの

省庁が、情報隠蔽を行うことで自己保身を図り、

国民の利益に明らかに反しています。

 

さらに無かったはずの証拠が

後日違った形で出てきたり

組織を守るためにはクロを白と言いくるめるようなこともします。

 

高知白バイ事件では

警官のバイクと衝突したバス運転手が

同乗していた生徒など多くの証言で

バスが止まっていたはずですが

裁判ではバスが動いたことでバイクと衝突したとの

事実とは異なる内容

運転手の片岡晴彦さんが有罪となっています。

 

あの時バスは止まっていた

 

 

また朝木市議の転落死事件では、

自殺とされた朝木明代さんの

長女の朝木直子さん

事実を追求しようと活動されています。

 

またいじめや自殺に関して

積極的に調査活動している

自民党の山田太郎議員

真実を追究しています。

 

 

以前院長ブログでも触れた

福島原発事故の際に

緊急時迅速放射能影響予測システム

(SPEEDI)の情報を

いち早くアメリカに渡していた件など

日本の情報隠蔽体質が改まることは

期待出来ないのでしょうか。

 

 

 

ウィキリークスの精神を

日本のジャーナリズムも

見習って欲しいと思います。