最近はこれまでに経験したことのないような
猛烈な暑さが続いていますね。
先日ご高齢の女性患者さんと外来でお話しした際に
終戦当時小学生だった頃の
戦後の買い出しや疎開での苦労話を伺って
今の日本があるのは、
戦後に必死で頑張ってくれた方々のおかげだと
改めて思いました。
自分が小学校時代、毎年8月の終戦記念日前後には
テレビで必ず原爆の映像や犠牲者の悲惨な姿を見て
戦争の残酷さが伝わってきましたが
最近ではそのような番組も全くなく
日本がアメリカに負けたことを知らない人も
いると聞きます。
「天皇陛下万歳」と言って戦場で亡くなった方々に
天皇が実際にどのような方だったのかを知る機会は
ほとんど無かったのではないでしょうか。
著者の井上清さんは戦争の重要な局面で軍部を指導した
天皇の戦争責任を一貫して追及しています。
幼少時から人格形成に関わる侍従との関係
戦争中の軍部首脳との軋轢や葛藤など
当時の時代背景とともに天皇の動向を解説していて
初めて知る内容も多く、大変興味深い本でした。
戦後北海道がソ連とアメリカに分割統治される可能性や
東京裁判で天皇の責任追及を避けるため
海軍ではなく陸軍首脳が首謀者となる過程など
興味深い話が載っています。
戦後九州巡幸の際に立ち寄った礼拝堂で
天皇がマリア像の前で跪く直前に
侍従の機転でそれを回避したために
日本国がキリスト教に改教しないで済んだという推測ですが、
その他にも皇室が日本郵船の大株主だったり
三島由紀夫が美智子妃殿下と面識があったなど
知られざる皇室の話が載っています。
徳富蘇峰
戦争時に天皇が国民の前で直接軍を指導しなかったこと
陸海軍の統率力のなさや連携不足について痛烈に批判し、
本土決戦をせずに降伏したことを
忸怩たる思いで綴っています。
当時の多くの方の心情を表した内容で
戦後日本人が精神的に堕落する状況を見て
現代の我々に向けた警告を発しています。
偉大な言論人の魂のこもった渾身の遺書として
心に響くものがあります。
都立戸山高校で三年間お世話になった
担任の山極圭司先生の著作です。
先生は90歳を超えてますますお元気で本を出されていて
本当にすごいと尊敬しています。
昭和20年の敗戦後から28年にかけての日記をもとに
敗戦後の日本の歩みを振り返っていらっしゃいます。
昭和19年の11月、特攻隊に志願し、
陸軍士官であった先生が
戦後の混乱期をどのように乗り越えて来たのか
今年の秋に行われるクラス会で
直接当時の心境を伺ってみようと思います。
自分も三年間記録できる日記をつけているので
山極先生、徳富蘇峰を見習って、
これからも続けていきたいと思います。