【小林耳鼻咽喉科医院】 世田谷の耳鼻咽喉科 めまい 耳鳴り アレルギー性鼻炎 耳鼻科

6月の読書記録

連日暑い日が続いていますね。

 

 

6月に読んだ本をご紹介します。

 

原爆を盗め

-史上最も恐ろしい爆弾は

こうしてつくられた-

 

 

この本には原爆の情報を得ようと

暗躍する人々の、手に汗握る場面の連続で

とてもスリリングな内容です。

 

1938年ナチスドイツの首都ベルリンの

カイザー・ヴィルヘルム化学研究所に所属していた

物理学者オットー・ハーン

 

 

シュトラスマン

ウランの原子核に中性子を照射した時に

核が大きくならず、

ウランよりも小さい原子である

ラジウムが確認されたことを発見します。

 

この現象が何を意味するかとの

相談を受けたリーゼ・マイトナーが

甥の物理学者

オットー・ロベルト・フリッシュと

検討したところ、

核分裂が起きたことが判明しました。

 

 

 

1940年にナチス・ドイツは

ノルウェー作戦

でノルウェーとデンマークを侵攻し、

ノルウェーのヴェモルクにある

世界最大の重水製造工場である

ノルスク・ハイドロ電気化学工場を占領。

 

クルト・ディーブナーが陣頭指揮を執り、

物理学者たちを招集し、

ノーベル賞受賞者の

ヴェルナー・ハイゼンベルク

重水を調達して原子炉と

原爆の製造法を研究します。

 

 

 

 

ドイツ生まれの物理学者

クラウス・フックス

はナチスに反感を持ち、

ヒトラーを批判する共産党に入党しました。

 

フックスはKGBに

原爆に関する詳細な情報を伝えました。

 

その後フックスを含むイギリス人チームは

アメリカの原爆研究機関のある

ロスアラモスに移り

マンハッタン計画に組み込まれます。

 

無口で静かなフックスを訪ねてくるのは

独身寮で隣室の

リチャード・ファインマンだけでした。

 

 

 

1950年、ジュリアス・ローゼンバーグと

エセル・ローゼンバーグの夫妻は、

ソ連のために原爆開発に関する

スパイ活動を行なったとして

米国政府から告発されました。

 

翌年から始まった裁判の結果

死刑判決となり、

1953年に死刑が執行されました。

 

 

ローゼンバーグ夫妻の逮捕劇は、

連邦捜査局(FBI)による

クラウス・フックスの摘発に繋がります。

 

フックスに関しては

“同盟国”に対するスパイ行為であったため

死刑にはならず、14年の禁固刑を受け

模範囚として釈放されました。

 

フックスの自白により、

ソ連側スパイの連絡係である

ハリー・ゴールドが逮捕されました

 

 

また日本に潜伏していた

リヒャルトゾルゲ

は日米開戦前夜の東京で、

日本の政権とドイツ大使館の中枢に食い込み、

ドイツ軍のソ連侵攻や、ソ連が最も知りたかった

日本軍の南進(ソ連とは戦わずに南方へ)の

国際的重要情報をモスクワに通報しました。

 

プーチン大統領は2020年、

68歳の誕生日に際し、

「高校生の頃、ゾルゲのようなスパイになりたかった」

と語っています。

 

 

またゾルゲのネットワークに

女性スパイ

ウルズラ・クチンスキー

がいます。

 

 

アメリカ国内にも

ハルノートの実質的な起草者で

ソ連のスパイとされる財務省の

ハリーホワイト

などが暗躍していて

政府の様々な情報がソ連に筒抜けになっていたことが

明らかになりました。

 

そのスパイを調査したのが

「ヴェノナ作戦」です。

1943年から1980年までの間

アメリカ陸軍情報部と

イギリス政府暗号学校が協力して行った

プロジェクトで、その報告書が

ヴェノナ文書です。

 

 

ソ連とアメリカの熾烈な情報戦と

日本の戦後史について、

今後もいろいろと調べてみたいと思います。