8月もあと少しで終わりで
月日が過ぎるのが本当に早いですね。
米国の高齢者に関する研究で、
中等度から重度の難聴が
認知症の有病率の高さと関連している
との研究結果が
「The Journal of the American Medical Association(JAMA)」
に掲載されました。
米ジョンズ・ホプキンス大学
ブルームバーグ公衆衛生大学院の
Alison R. Huang氏らは、
難聴および補聴器の使用と
認知症との関連につき
地域在住の高齢者2,413人を対象に検討しました。
その結果、
認知症の加重有病率は10.27%であり、
難聴の重症度が上がるにつれ
上昇していることが明らかになりました。
難聴の有病率は、
軽度難聴で36.74%、
中等度~重度難聴で29.79%で
中等度~重度難聴の人は、
軽度難聴または正常な聴力の人と比較して
高齢、男性、白人、
教育レベルが低い確率が高いと判明しました。
認知症は65歳以上の約15%
軽度認知障害
(Mild Cognitive Impairment : MCI)
は13%、約860万人と言われています。
慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科
小川郁先生と
東京慈恵会医科大学精神科
繁田雅弘先生との対談では
たいへんわかりやすく
難聴と認知症の関連を解説しています。
音を感じる蝸牛の内有毛細胞は
年齢と共に働きが衰えて
難聴となります。
この変化は徐々に起こるために
本人が気がつきにくく、
TVの音量が大きい
電話が聞こえにくいなどがきっかけで
難聴を自覚します。
難聴のために脳に伝達する音の刺激や
情報量が少ないと、脳の萎縮や
神経細胞の働きが落ちてしまい、
認知症の発症に影響する可能性があります。
認知症の発症を予防するために
補聴器の使用が有効です。
高齢者は小さい音は聞こえにくく
大きい音はうるさく感じることが知られています。
これはリクルートメント現象と呼ばれていて、
子供が叫ぶ声、自動車の排気音、
機械音など高い音、
大きい音が苦手という症状があります。
耳が聞こえにくい方に
大きな声で話しかけると
かえってうるさく感じてしまいます。
脳科学的には、
大声は感情の座である
扁桃体を刺激して、
怒りの感情を誘発することが
報告されています。
難聴による音刺激が欠乏して
1次聴覚野と海馬の形態変化が起こり、
認知予備能力が減って
認知症の準備状態を作るという説
難聴者は、本来記憶などの
認知機能に費やすべき知的エネルギーを
聴覚理解に回す必要があるため
認知機能への注力が手薄になり
認知症の素地が作られるという説があります。
聞こえが悪いと感じる方は
聴力検査をお勧めします。