今年は花粉の飛散量が多く、
かなり症状が強い方が目立ちます。
花粉症の治療に際しては、
内服薬の他に点鼻薬、点眼薬を
併用することがあります。
それでも治療効果が無い場合には、
効果が強い内服薬を使用しますが
眠気の副作用が問題となります。
その場合には西洋薬と同時に
漢方薬も使うと症状が改善される場合があり
両者の併用で楽になる方が多くいらっしゃいます。
東洋医学では水分の代謝障害を
水毒あるいは水滞ととらえます。
花粉症には水はけを良くする
生薬(麻黄)が含まれる
小青竜湯が効くことが知られています。
麻黄はエフェドリンという物質と
同様の成分が含まれるため
長期間の内服で血圧の上昇が見られることがあり
また胃腸障害の副作用もあります。
そのため胃腸が弱い方には
麻黄が含まれていない
苓甘姜味辛夏仁湯
(りょうかんきょうみしんげにんとう)や
市販薬のチクナインでもある辛夷清肺湯
(しんいせいはいとう)を処方します。
また鼻炎に使う漢方として、
手足の冷えが強い方に処方する
麻黄附子細辛湯
(まおうぶしさいしんとう)があります。
附子にも血圧上昇作用や発汗作用があるため、
高血圧の方には慎重に投与します。
麻黄も含まれるため、
胃腸障害に注意する必要があります。
鼻閉が強い場合には、
東洋医学的に瘀血(おけつ)である場合が多く、
川芎(せんきゅう)を含む漢方を処方します。
葛根湯加川芎辛夷
(かっこんとうかせんきゅうしんい)
荊芥連翹湯
(けいがいれんぎょうとう)
などで、花粉症に副鼻腔炎を
合併するような場合にも使用します。
国内で最も処方されている薬はザイザルで、
売上高は2016年のデータで222.8億円、
処方数では1日2回内服の
タリオンが最多となっています。
西洋薬で効果が強い薬剤の一つは
レミカットですが、
副作用の眠気がかなり強いため、
運転する方には処方できません。
最近発売されたアレサガテープは
このレミカットの成分を含む薬剤で、
一日一回皮膚への貼布で効果が発現し、
副作用も比較的軽く、
飲み忘れが少ないため使いやすい薬となっています。
今後数週間が花粉症のピークと思いますので、
これまでの処方薬で症状が改善しない方は、
ぜひ当院にご相談下さい。