今日は晴れて気持ちのいい一日となりましたね。
公立福生病院の外科医師が昨年8月に
44歳女性患者さんの透析治療を中断した結果、
一週間後に死亡したというニュースがありました。
この決定には院長先生も同意していたと言いますが
倫理委員会は開かれず、主治医の意見と家族の意思の
食い違いも見られたようです。
実際に透析を中止するとかなりの苦痛を伴うため
中止後に患者さんは当初の意志を撤回して
最後には透析再開を希望したと報道されています。
日本透析医学会では透析中止の条件として
患者さんの全身状態が極めて不良な場合や
治療により生命を著しく損なう危険性が高い場合に限定しています。
そのため意思決定プロセスを重視したプロトコールを作成しています。
提言の中で、透析の見合わせを検討する際には
患者さんと家族の意思決定プロセスが適切に実施されていることが必要で
治療を見合わせた場合には、状況に応じて再開されると記載されています。
外科医師はこれまでにも同様の判断で
透析中止を指示した結果、20人ほど治療の中止により
亡くなった方がいるということです。
透析によって生命を維持している場合に
治療を中止することは直接死につながるため
安楽死法案がない現状では、どのように最後を迎えるかが
大変重要になってきます。
現在人工透析をしている方は全国で33万4505人(2017年)
となっています。
透析に至る原因は糖尿病による腎症が最も多く
費用は外来血液透析で約40万円、腹膜透析では30-50万円
かかりますが、公費負担による治療です。
シャント手術をして行う血液透析は週に三回、一回5-6時間かかり
腹膜を使った腹膜透析は月に1-2回の通院で済みますが、
行える施設が限られます。
近年90歳代の透析患者さんも増加しているため
ご本人の意向で透析をしないケースもあり
全ての患者さんが最期まで透析を希望するとは限りません。
今回の報道では、
患者さんに透析をしない強い意志があったのか
患者さんの意志が二転三転していないのか、うつ状態ではなかったのか
主治医が家族の意向を取り入れたのか
治療中止により苦しみが高度となった時に
透析をすぐに再開するという選択肢はなかったのかなど不明な点が多く、
主治医が治療を中止した経緯がわかりにくい状況です。
主治医の先生の考え方も理解できますが
患者さんの気持ちに寄り添っていなかったのではないかと思います。
もしも自分の親が同じような状況だとしたら
この先生は透析を中止するとは言わなかったのではないでしょうか。
さまざまな議論が必要です。