九月に入ってからも曇りの日が続いていますが
今日は暑くなりましたね。
先週土曜日は品川で開催された漢方の勉強会に参加しました。
フレイル漢方薬理研究会主催の
健康長寿と人参養栄湯
フレイルとは、
高齢になると生理的予備能力が低下し
ストレスに対する力が落ちてしまうことで生活機能が障害され
要介護状態、生命維持が困難に陥りやすい状態のことです。
日本の健康寿命は平均寿命と比べて
男性では約9年、女性では約13年も短く、
介護状態の前段階であるフレイルの対策が、
健康寿命を延ばすポイントとなります。
最初の講演は
国立東京医療センターがん研究センター 上園 保仁先生
がん患者さんの低栄養状態、 悪液質に
人参養栄湯が有効であるとの発表があり、
六君子湯(りっくんしとう)の
食欲促進ホルモンであるグレリンに対する
作用増強メカニズムについても
詳しい解説がありました。
自治医科大学 医学部 生理学講座 矢田 俊彦先生の講演は
食欲不振、フレイルのメカニズムと漢方の効果
高齢者ではグレリンに対する抵抗性が起こり、
食欲不振の原因となります。
人参養栄湯が視床下部の摂食に関する神経に作用して
食欲を改善させ、体重回復に大変効果があるという発表でした。
向坂病院院長 向坂 直哉先生の講演
東洋医学からみたフレイル〜人参養栄湯の臨床的有用性〜
65歳以上の高齢者で術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、
ねあせ、手足の冷え、貧血などの症状がある方に
人参養栄湯を投与して握力や体重、体脂肪率、骨量などを
コントロール群と比較した結果
いずれも対照群より改善傾向を示したとのことで、
人参養栄湯は高齢者に有効であると言う結論でした。
最後の講演は
鹿児島大学大学院 心身内科学分野教授
乾 明夫先生で
人参養栄湯の構成成分ごとの作用機序を詳しく解説していただき
とてもわかりやすかったです。
人参に含まれる成分が、疲労や抑うつを軽減し
骨密度の増加や動脈硬化の減少、認知機能の改善
前立腺肥大の抑制などの効果があることが知られています。
これらのことから人参養栄湯による健康長寿増進、
アンチエイジングに関する将来の展望も伺えて
大変面白い発表でした。
講演終了後の懇親会では、300人以上の先生が集まり盛会でした。
会場では戸山高校の後輩S先生と久しぶりにお会いして
お互いの近況報告をしましたが
夏休みにスペイン旅行に行かれてとても楽しかったとのこと。
その時の写真を見せてもらいましたが
確かに素晴らしいところのようです。
1日がかりの会でかなり疲れましたが、とても充実した時間でした。
これからも勉強会に積極的に参加して
外来診療をより良いものにしていきたいと思います。