【小林耳鼻咽喉科医院】 世田谷の耳鼻咽喉科 めまい 耳鳴り アレルギー性鼻炎 耳鼻科

東京都地方部会に参加しました

今日はスッキリと晴れて気持ち良い1日になりましたね。

花粉症の患者さんも数多くいらして、かなり忙しい外来でした。

 

 

先週土曜日は

日本耳鼻咽喉科学会の東京都地方部会に出席しました。

 

 

場所は東京駅近くの明治製菓ビルです。

 

 

講演は、

東京慈恵医科大学附属柏病院 総合診療部 三浦 靖彦先生

「日常診療に使える、難しくない臨床倫理の話し」

 

 

臨床倫理学とは

日常診療の現場で医療従事者が直面する

さまざまな倫理問題や道徳的ジレンマに対して

どう対処すべきかという倫理についての学問です。

 

 

地域医療には様々な業種の方が関わっていて

看護師や訪問看護の方をはじめとして

包括的なケアが行われています。

 

 

こうした中

医療の現場では患者さんの信仰や

家族の都合などにより、医師が適切な治療を行っても

その結果が受け入れられないなど

想定外の場面が多く見られます。

 

 

 

国内に21万人の信者がいるエホバの証人の場合にも

いろいろな問題が指摘されています。

 

肝臓腫瘍の摘出手術を行う場合、

手術中の出血が多くなることがほとんどで

出血多量の際ショック状態になる事もあります。

 

その時に他に救命手段がない場合には

輸血を実施するとの治療方針を医師が有していたのに

術前に本人に説明しなかったのは

患者の人格権を侵害したとして

慰謝料請求を認容した最高裁判所の事例があります。

 

 

 

また脳死や癌の末期など

生命維持装置に長期間繋がれている人の生命を

医師の判断で延命措置を中止していいのか

判断が難しい場面もあります。

 

 

アメリカでは、1960年代に人体実験と呼ぶべき

臨床研究が明るみに出され、それを契機として

生命倫理・医療倫理のあり方が国家レベルで議論されました。

 

1975年、急性薬物中毒で脳死状態になった

カレン・クインラン事件

は、回復が見込めない状態を見るに見かねた家族の要望により

人工呼吸器を停止する事を認める初の最高裁判決となり

事故から9年後に安楽死という結果となりました。

 

 

そのような情勢の中、生命倫理4原則が生まれました。

4原則とは、

Non-maleficence = Do no harm(無危害)

Beneficence = Do some good(善行)

Autonomy(自己決定・自律)

Justice(配分的正義)です。

 

自分が植物状態のような状況でも生きていたいかなど、

何が自らの生き方・死に方であるかについて

患者に治療拒否権を認めることこそ倫理的である

とする考えが強くなりました。

 

 

日本でも日本臨床倫理学会

や、エンドオブライフ・ケア協会

が積極的に活動をしていて

尊厳死やリビングウィルなどの認知度も上がっています。

 

 

日本とアメリカでは死生観や宗教の違いもあるため

すべての人にアメリカ方式があてはまるとは限りません。

 

死を目前にした時、

どの方法が本人、家族にとって一番良いのかを

検討しておく必要があります。

 

 

仲の良い友人や知人が亡くなったこともあり

自分の将来についても考えておかなければと思いました。

 

 

いろいろな知識を吸収できて有意義な会でした。

これからも積極的に勉強会に参加しようと思います。