昨日は午前中スッキリと晴れましたが夜は雨になりましたね。
6月になり気圧の変化がかなり激しくなっています。
外来でもめまいや耳鳴り、難聴を訴える方が多く来院されて
この時期に体調を崩される人も増えています。
低気圧や台風が近付くと耳の鼓膜の奥にある三半規管や、
蝸牛の中にあるリンパ液が気圧の影響で容量が変化しやすく
耳の中の循環が悪くなるために、めまいや難聴、耳鳴りが起こります。
最近では内耳に気圧の変化を感知する気圧センサーが存在することがわかってきました。
また細胞膜の水透過性を調節するアクアポリン(Aquaporin : AQP)という
水チャンネルが注目されています。
1992年 P.Agre博士らのグループは赤血球の膜タンパク質を用いて水を選択的に通す
水チャンネルを発見しました。のちにこの膜蛋白はアクアポリンと名付けられました。
発見者のP.Agre博士は2002年にノーベル賞を受賞しています。
アクアポリンは細胞膜上にあり水を通すためのトンネルを開けている分子で
一秒間に100億個の水が通過しています。
現在13種類が知られています。
身体の中に余分な水分がたまっている水毒という病態には五苓散が有効で、
アクアポリンに対する五苓散の利水作用が研究されています。
五苓散に含まれる蒼朮(そうじゅつ)猪苓(ちょれい)が
細胞膜の水透過性を抑制し、脳細胞に発現するアクアポリン4を阻害して
脳への過剰な水分のシフトを防ぐという研究結果から、
二日酔いや慢性硬膜下血腫の脳浮腫の治療に五苓散が有効との理論的な説明が可能です。
五苓散は小児の嘔吐や下痢、頭痛にも用いられ
実際に低気圧や台風の時に頭痛がするお子さんに処方して
すぐに元気になる様子を見て効果を実感しています。
梅雨の季節に耳鳴りや耳が詰まった感じなどの症状が出たり
吐き気やめまいなど体調が悪くなっている方は、
水毒を改善する五苓散の効果が期待出来ますので、是非一度ご相談下さい。