【小林耳鼻咽喉科医院】 世田谷の耳鼻咽喉科 めまい 耳鳴り アレルギー性鼻炎 耳鼻科

急性アルコール中毒について

今日は3月としてはかなり寒い1日になりましたね。

 

 

春のお花見シーズンで、アルコールを飲む機会も増える時期です。

 

 

 

東京消防庁のデータによると、急性アルコール中毒で

毎年1万人以上の方が救急搬送されています。

 

 

 

 

熊本大学医学部の学生が新歓コンパの際に

急性アルコール中毒で亡くなった事件があり

無理に酒を勧めた関係者が裁判で有罪となりました。

 

 

 

この事件と同様一気飲みにより救急搬送されるケースが多く、

無理に酒を勧めても体が受け付けない人がいます。

 

そういった方は断る理由として、アルコールを分解する酵素が

欠けていることを周りに表明するといいと思います。

 

アルコールを受け付けない方に無理強いして飲ませることは

命に関わる危険な行為でアルコールハラスメントと呼ばれ、

その対策も考えられています。

 

 

 

 

体内で取り込まれたアルコールは胃で20%、腸で80%が吸収され

肝臓でアルコール脱水酵素(ADH)によりアセトアルデヒドに、

さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により

酢酸に分解、最終的に水と二酸化炭素になって排出されます。

 

 

 

 

アセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)は

血中のアセトアルデヒト濃度が高い時のみ働くALDH1と

低濃度でも働くALDH2に分類されますが、

遺伝によりALDH2の活性が異なっていて、全く飲めない人もいます。

 

 

 

 

 

活性型はアセトアルデヒドの分解が早く

低活性型は分解が非常に遅く、非活性型は全く分解できないタイプです。

 

 

 

 

ALDH2は人種により出現率が異なり、白人、黒人は活性型がほとんどで

低活性型、非活性型は黄色人種のみに見られます。

 

ALDH2(低活性型、非活性型)の人種別割合

 

 

日本人の約50%は、生まれつきALDH2の活性が弱いか欠けています。

 

 

 

 

全国で酒豪が多い県として、北海道、東北、九州、沖縄が挙げられます。

 

 

 

ALDH2の遺伝子を解析した原田勝二先生の研究

人類の起源に関しても理論立てて考察していて、大変興味深いものがあります。

 

 

 

 

お花見で綺麗な桜を見ると、つい気が緩んでしまいがちですが、

飲めない人に無理強いしないなどの配慮が必要です。

 

ルールを守って楽しいお花見シーズンを過ごしたいですね。