昨日はスッキリと晴れて気温も上がり
花粉症の患者さんがたくさんいらして
外来はかなり混雑して大変でした。
終わってからすぐに電車に飛び乗り
お茶の水に移動して、ツムラの漢方研究会に参加してきました。
場所は東京ガーデンパレスです。
最初の発表は
「高齢者医療における抑肝散と人参養栄湯」
講師はけいめい記念病院 脳神経外科 副部長
岡原 一徳先生
抑肝散と人参養栄湯に関して
作用機序と効果があった症例を解説して下さいました。
今後ますます増加していく認知症に対して
漢方薬は治療の選択肢の一つとして効果があると感じました。
続いての発表は
「漢方ビッグデータを用いた漢方医学研究
〜大建中湯・五苓散・抑肝散などを中心に〜」
東京大学大学院医学系研究科臨床疫学・経済学
教授 康永 秀生 先生
現在全国の病院から集まっている医療データを解析し
漢方薬投与の有無で
疾患の治療費をどの程度抑えられるかについての
興味深い研究です。
大腸癌の手術後に
イレウスチューブと呼ばれる胃の中に入れる管から
漢方薬の大建中湯を投与して
以下の項目について検討した結果
死亡、再手術率の低下には効果的でなく
イレウス管挿入期間、在院日数を有意に短縮し
その結果入院医療費を削減することとなりました。
同じような評価方法で
五苓散が慢性硬膜下血腫という
脳の内部に血液が貯まる病気の治療の際に行われる
穿頭血腫洗浄術後の再発率を有意に低減し
結果として医療費を抑制するとの結果でした。
その他にも慢性呼吸不全や肺癌など
様々な病気に対する漢方薬の投与で医療費抑制が可能であり
国民全体の健康面で貢献出来るという
展望を伺いました。
東大の先生の発表は理路整然としていて
講演後の質疑応答にもあらゆる可能性を考えて
答えを準備していて、さすがと思いました。
最後に東京大学大学院医学系研究科
加齢医学講座 教授 秋下 雅弘先生の
今後の提言を聞き、漢方の可能性を感じた一日でした。