昨日は戸山高校の同窓会に出席したあと
新宿で漢方の勉強会に参加して来ました。
まずは現代の口訣(こうけつ)を考慮した
人参養栄湯の臨床使用について
東京女子医科大学 東洋医学研究所 准教授
木村 容子先生
人参養栄湯は12種類の生薬から構成されていて
各成分の作用する機序について
先生の解説が大変わかりやすく、
体質が虚弱な人(虚証)の方に使いやすいことが
改めて認識出来ました。
高齢者に対する漢方薬の使い分け
特に六味丸 補中益気湯 人参養栄湯
などについての理解が深まりました。
漢方薬の処方知識が今までよりもさらに増えて
大変有意義な講演でした。
次の演題は
フレイルと人参養栄湯〜健康長寿に向けて〜
鹿児島大学大学院 心身内科学分野 教授
乾 明夫先生
フレイルとは、英語でもろさ、はかなさ、弱さ、弱点など
を意味する言葉で、高齢になると生理的予備能力が低下し
ストレスに対する力が落ちてしまうことで
生活機能が障害されて要介護状態、
生命維持が困難に陥りやすい状態のことです。
フレイルの病態と近い漢方薬の概念に
腎虚があります。
腎とは臓器の腎臓を指すのではなく、
水分代謝や成長、発育、生殖などの生命維持に関与する
機能単位と考えられています。
腎虚によって起こる症状として
皮膚の乾燥やかゆみ、難聴・耳鳴、脱毛、健忘症
腰痛、骨粗鬆症、排尿障害や失禁
下肢の冷え、睡眠障害などがあります。
先生の研究では
様々なモデルマウスに対する漢方薬の効果について
わかりやすく解説していただきました。
例えば小腸絨毛(小腸表面のひだ状の粘膜)
の加齢による変化を遅らせるのに
若いマウスよりも高齢のマウスで
人参養栄湯の効果がより有効であったとの事。
老化モデルマウス(老化が進んだ状態のマウス)が
迷路から正しく出口まで脱出する作業時間を測定した際
正しく出口に到達するのに
人参養栄湯を投与した群が時間短縮効果があった事など
認知機能の改善を期待出来る
興味深い実験結果でした。
腎虚に対して使用する人参養栄湯の
アンチエイジング効果についても解説があり
今後は元気な高齢者が増えることで
国民医療費を抑制することも期待出来ます。
多くの知識を吸収できてとても有意義な会でした。
これからも勉強会に積極的に参加していきたいと思います。